飲食店の開業に必要な手続き

今回は、私自身以前従事していた飲食業の開業について解説いたします。

開業から3年間の廃業率が約70%とも言われる飲食業ですが、一方では粗利益率が高いこと、特に資格等が不要で参入障壁が低いといった理由から毎年多くの方が新規参入しています。

飲食店営業許可の設置基準は?

まず気になる設備の基準については、各自治体で細かい基準が異なる場合がありますので、事前に管轄の保健所に相談すると良いでしょう。「飲食店営業許可 ○○市」のように検索すると自治体のウェブサイトがヒットしますので問い合わせ窓口を確認しましょう。

飲食店の居抜き物件であればある程度そのままで許可が取れそうなものですが、以前その物件で営業されていた方が営業許可を受けた後に構造を変えており、そのままでは許可されないことがよくあります。

私が経験した具体例では、手洗い用のシンクを塞いで作業台にしていたり、調理場とホールの仕切りを外していたり、食器棚の扉を外していた等がありました。事前に設計図面を保健所に持参すると必要な設置基準を説明していただけますので、やはり事前に管轄の保健所に相談することをお勧めします。

とは言ってもまずは最低限満たすべき基準がわからなければ始まりませんので開業準備を進める際に以下のポイントを抑えましょう。

1.食品衛生責任者を設置する

各店舗に一人、食品衛生について知識を持った責任者を設置する必要があります。食品衛生責任者になるには、都道府県が実施している講習(一日で修了します)を受講するか、調理師または栄養士の資格を保有している必要があります。余談ですが、私の経験では講習を受講するよりも調理師や栄養士の資格保有者の方が保健所の方の心証が良い気がしますので、既に飲食業に従事されていて調理師の受験資格を満たしている方は調理師を受験するのも良いでしょう。

2.店舗内の用途で仕切られているか

調理場とホールを仕切る、または店舗兼住居になっている物件は居住スペースと店舗のスペースが仕切られていることが必要です。

3.更衣室があるか

個人経営の小さなお店ではなかなか難しいですが、着替えるためのスペースを設ける必要があります。カーテンで仕切るなどでも良い場合が多いですが、これも保健所に相談する際に聞いてみるのが良いでしょう。

4.調理場の床材は適切か

調理場の床は毎日水を流して磨き掃除するのが基本ですので、コンクリートのような水を流せる材質であり、また排水できる構造である必要があります。

5.店内の照明が暗すぎないか

これも自治体によって基準が定められていなかったりしますが、極端に暗い店内は飲食店営業許可が受けられない、または別途風営法上の許可をとる必要があります。

以上のような点が飲食店の開業に必要な条件となりますが、業態や店舗の規模によって出店場所に制限があったり、保健所の他にも警察や消防等への許認可が必要となる場合がありますのでご自身が希望する業態に合わせて調べる必要があります。

よくわからない、あるいはご自身が営業許可を取るために時間や労力を割くことができないという方は、地域の飲食業許可申請を取り扱っている行政書士にご相談することも検討されてはいかがでしょうか。

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