本記事は神奈川県での開設を想定して執筆しております。
他の地域では異なる場合がありますので、必ず指定権者や専門家にご確認ください。
1.放課後等デイサービスとは
ポイント①就学年齢であること
放課後等デイサービスとは、6歳から18歳の障がいのある児童を対象とし、学校の放課後や夏休みなどの長期休暇に児童発達支援センター等の施設に通わせ、訓練や社会との交流促進、その他必要な支援を行います。
ポイント②保護者の支援も担っている
放課後等デイサービスでは、障がいのある児童だけでなく、その保護者の支援も目的としています。
具体的には子育ての悩みなどに対する相談、ペアレント・トレーニングなどの支援、児童のケアを一時的に代行するなどの支援によって保護者が子どもに向き合うゆとりと自信を回復することで、児童の発達に好ましい影響を及ぼすことが期待されます。
ポイント③保護者の就労等は条件ではない
健常児も対象とした学童保育では、保護者が就労していることや妊娠・出産していることなどが入所の条件となりますが、放課後等デイサービスではこれらの条件は必ずしも必要ではありません。
お子様の発達に心配がある場合は市町村のこども発達支援室などに相談し、支援が必要と認められれば受給者証が発行されることとなります。
ポイント④利用者数、事業所数共に大幅に増加している
子どもの出生数は年々減少傾向にありますが、放課後等デイサービスの需要は年々増加しています。
利用者数では平成28年から令和3年の5年間で14.0万人から27.4万人と約2倍へ増加、事業所数でも同期間で9.3千人から17.2千人とこちらも約2倍に増加しています。
(出典:厚生労働省「児童発達支援・放課後等デイサービスの現状等について」)
2.指定を取るための4つの要件
①法人を作る
放課後等デイサービスを開設するには、法人格が必要となります。福祉の事業所というと社会福祉法人や特定非営利活動法人(NPO法人)などをイメージしがちですが、株式会社や合同会社のような営利法人でも営むことができます。
下記のグラフは放課後等デイサービスの設立年度別の設置主体の統計です。以前は社会福祉法人やNPO法人の比率が高かったところ、近年は営利法人の比率が上がってきていることがわかります。
(出典:みずほ情報総研株式会社「放課後等デイサービスの実態把握 及び質に関する調査研究 報告書」)
どの法人形態にするかは開設する事業所の理念や発起人の人数などで変わるのでケースバイケースであり、ご自身の計画と照らし合わせて検討することになります。
また法人の設立の際には「定款」という法人のルールを作成する必要がありますが、この中に「目的」の欄があり、法人がどのような事業を運営するのかを記載しますが、放課後等デイサービスの指定を取るためには「児童福祉法にもとづく障害児通所支援事業」などの記載をする必要があります。
しかしこの記載は自治体によって異なる場合がありますので、法人設立に際しては事前に指定権者や専門家に確認する必要があります。
これが適していない場合、法人の設立後に目的の変更をする必要があり、本来であれば不要な費用と日数をかけることになります。
②人員の配置基準を満たす
人員の配置基準は障がい児の定員、医療的ケアや機能訓練を行うかどうかで異なりますが、定員10名まで、医療的ケアや機能訓練を行わないオーソドックスな事業所の場合、サービスの提供を行う時間帯を通じて以下の配置基準を満たす必要があります。
・管理者 1名
当該事業所に専任である必要がありますが、支障が無ければ他の職務との兼任ができます。
・児童発達支援管理責任者 1名
専任かつ常勤である必要があります。
・児童指導員又は保育士 2名
1名は常勤である必要があります。
③設備の基準を満たす
前項と同じ、定員10名まで、医療的ケアや機能訓練を行わないオーソドックスな事業所の場合、以下のような設備基準がありますが、以下は厚生労働省「放課後等デイサービスガイドライン」及び基準省令「指定児童発達支援事業所」の項をもとに執筆しています。指定権者によって異なりますので必ず指定権者または専門家にご確認ください。
・指導訓練室
床面積の基準は定められていませんが、児童発達支援センターが障がい児1名あたり2.47㎡×定員10名の24.7㎡の床面積が求められていることを参考に、同じくらいのスペースを確保することが必要と思われます。
・相談室
プライバシーの確保に配慮する必要があります。
・トイレ
併せて、洗面所を別に設置する必要があります。
・事務スペース
鍵付きの書庫の設置が必要です。
④立地・建物の基準を満たす
放課後等デイサービスを開設するには、根拠法である児童福祉法の他にも、多くの法令に適合し、また利用者や従業員の利便性も検討する必要があります。
立地を選定するには都市計画法などに抵触しないか、また近隣の住民への理解を事前に得ることも必要です。
また、送迎サービスを行う事業所では障がい児の乗降に支障がない駐車ができるかなどの利便性も検討するべきでしょう。
また、建物についても建築基準法や消防法へ抵触しないかの確認も必要です。
3.事前相談や申請は来庁不可!
神奈川県では、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、障害福祉サービスの事前相談や申請について、従来のように窓口での対応がされなくなりました。
また、現在でも行政手続きコスト削減のため上記の取り組みが継続されていますので、郵送やEメールを利用して適宜必要書類を提出し、ZOOMによるウェブ面談が行われています。
4.日程と資金に余裕をもって
放課後等デイサービスの開設にあたっては、物件の賃貸借契約や新築・改修工事着工前 に事前相談を開始するのが一般的であり、開設を希望する日から5から6か月程度前から動き出すべきでしょう。
また、資金についても制度上、開設から2か月後からしか入金が無いことが確定しているので最低でも2か月分の運転資金が必要です。(もちろん、安定した経営をするにはもっと運転資金が必要です。)
放課後等デイサービスの開設をお考えの方は、ぜひお早目の無料相談をご利用ください!