処遇改善加算および特定処遇改善加算について(神奈川県版)

※令和6年度から処遇改善加算、特定処遇改善加算及びベースアップ等加算が一本化され、制度が大きく変わりました。
本記事の内容は一部現行の制度と異なっていますのでご注意ください。

処遇改善加算、特定処遇改善加算とは

処遇改善加算の導入

 処遇改善加算は、平成21年に始まった「福祉・介護人材の処遇改善助成金事業」という助成金を前身としています。
「福祉・介護人材の処遇改善助成金事業」とはその名の通り、福祉・介護業種と他業種との賃金格差を縮め、福祉・介護人材の処遇改善に取り組む事業者へ、従来のサービス報酬とは別に、事業所のサービス報酬額に応じてパーセンテージで支給するものです。
その後改正を重ね、現行の制度になっています。
現行の制度では、「賃金改善等に関する計画を作成し、すべての職員に周知する」ことや「経験や資格等により昇給する仕組みを設ける(キャリアパス要件)」等、処遇改善にかかる要件が明確に示されています。
なお、キャリアパス要件をどれだけ備えているかによっても加算のパーセンテージが変わり、より職員の処遇改善に取り組んでいる事業者は多く加算を受けられるようになっています。

 また、令和元年には特定処遇改善加算が施行され、現行の処遇改善加算とは別枠でさらに加算が取得できるようになりました。
さらに、処遇改善加算は直接に福祉・介護の現場で働く職員のみが対象であり、サービス管理責任者や児童発達支援管理責任者は対象外であることに対し、特定処遇改善加算はサービス管理責任者や児童発達支援管理責任者も対象であることに加え、勤続年数が10年以上あるような有資格者といった経験・技能を持った職員に重点的に加算することができます。

 つまり、処遇改善加算だけでなく、特定処遇改善加算を取得することにより、事業所の中心となる職員の定着を促すことが期待できることになります。

処遇改善加算の注意点

賃金改善を実施する

 先にも述べましたが、処遇改善加算は職員の処遇を改善するために交付されるものですから、この支給された加算額を対象となる職員に全て支給しなければなりません。
厳密に言うと、対象となる職員の賃金改善の額が、加算の支給額より1円以上高くなるように賃金改善を実施しなければなりません。

賃金改善額の計算

福祉・介護職員にしか支給できない

 これも先に述べましたが、処遇改善加算は直接に福祉・介護の現場で働く職員のみが対象であり、現場に携わっていないサービス管理責任者等に支給することはできません。
また、現場に携わっていても、事務員や調理師等は福祉・介護に携わっていないので支給対象ではありません。
しかし、比較的小規模な事業所では、上記の支給の対象とならない職員も職業指導員や児童支援員といった支給対象の職種と兼務していることもありえます。
そのような場合は当該職員も支給の対象となりますのでその点留意が必要です。

非常勤職員(パートタイマー)も支給対象になる

 加算の支給対象となる職員が何名いるのかについて、処遇改善加算においては常勤換算をしますので、例えば「常勤職員2名」と「常勤職員1名、非常勤職員1名」を比較すると前者の方が事業所としては支給額が多くはなりますが、非常勤職員に対しても処遇改善加算を利用し、賃金改善をすることで事業所への定着を促すことができます。

処遇改善加算、特定処遇改善加算の取得率

処遇改善加算の取得率

 厚生労働省が発表した障害福祉サービス等従事者処遇状況等調査結果では、処遇改善加算を取得している事業所が81.1%と多くの事業所が取得していることがわかります。
一方、特定処遇改善加算の取得率を見ると42.7%と処遇改善加算に比べると大幅に取得率が下がっています。
加算を取得しない「賃金改善の仕組みを設けるための事務作業が煩雑であるため」が30.7%、「賃金改善の仕組みをどのようにして定めたらよいかわからないため」が29.4%といったように制度の複雑さが課題であることが伺えます。

 余談ですが、神奈川県では障害福祉サービス事業所の処遇改善加算及び特定処遇改善加算の申請について令和5年度から横須賀市を除き、webフォームからの申請のみになり、従来のように書面での提出が出来なくなりました。
オンライン申請になったことに対し、申請しやすくなったと感じるか難しくなったと感じるかは個々人によりますが、これまでオンラインでの手続きの経験がない方は初めのうちは難しいと感じるかもしれません。

まとめ

 処遇改善加算、特定処遇改善加算は仕組みが複雑であり、また改正も頻繁にあることから、「自らの事業所が要件を満たしているかわからない」、「最低限の要件は満たしていそうだけど、どこまでキャリアパス要件を満たしているかわからない」といった事業者も多くいらっしゃるかと思います。
また、年1回の申請のため、経営者やサービス管理責任者が毎年ご自身で改正点を調べなおして申請するのは不経済であり、事業所の経営や運営により注力すべきではないかと思います。
障害福祉サービスの処遇改善加算、特定処遇改善加算については行政書士がお力添えすることができますので、ぜひお近くの行政書士にご相談ください。

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